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第13話 ニーナの秘密!?の巻 その2

※壁紙色は雑誌連載時と同じ雰囲気にしてあります。

ニーナちゃんとリリアンに
せまる危機! テン丸の
怒りが爆発!

ママ〜

ボンボンKC「ベムベムハンターこてんぐテン丸
一〜三巻発売中! そろえようね!

(コミックボンボン1983(昭和59)年3月15日発行 4月号掲載時の扉文句より)

◆ニーナちゃんが、テン丸に切られちゃった! だいじょうぶかな?(柱コメント)

本編

リリアンを庇うように飛び出し、テン丸のサーベルで深手を負ったニーナ姫。
テン丸「ニーナちゃん なんでとびだすんだよ」
ニーナ「ママを ママをゆるして‥」
リリアン「ニーナ!」
リリアンはニーナ姫を抱きかかえ走り出す。
テン丸「どこへつれていく」
リリアン「うるさい」
飛んで行くリリアンの後をバイクで追うテン丸。
クロ「親分〜」
クロは崩れた城でテン丸を捜していた。すると地面が盛り上がり、何かが突き上がる。
クロ「わ」

つぶれ荘。
妖子「テン丸くんたち まだ帰ってこないの〜」
入間「まさか あんなもんおいて 国へ帰ったんじゃないだろうな」
妖子「そんなことするわけないでしょう」
ニーナ姫のペット竜のルーズが池の中から不安げに空に目を向けている。
妖子「ルーズ 心配ないわよ ニーナちゃん 帰ってくるわよ」
瓦礫の餌を持って励ます優しい妖子ちゃん。
クロ「ただいまでガス」
妖子「ほら 帰ってきたわ きゃっ」
飛行カーには頭が粉々に割れた大首が。
妖子ちゃんの手当で包帯を巻かれ布団に横たわる大首。
妖子「いったいどうしたの」
クロ「リリアンの念爆にやられたんでガスよ〜」
河口「ニーナちゃんは?」
ルーズが窓から顔を覗かせる。
クロ「親分がまちがってけがさせて リリアンがどっかにつれてったでガス」
大首「おそらくやつらの本部じゃろう
 やつらの本部にいきゃあ あんなけが なおさるやつがいるだろ〜」

脱走犯人なかよし同盟の本部は、鍵がかかった古びた祠の奥だ。
蒸気を発する液体が入った穴に、ニーナ姫が浮かべられている。
側に立つリリアンはニーナ姫の言葉を思い出しながら涙を流す。
リリアン「‥‥‥‥‥‥」
ニーナ『ニーナのほんとのママなら やさしいママになって』
リリアン「…………」
ニーナ姫の治療が済み、大ボス・ベムラーの前に引き出される。
ベムラー「リリアン おまえニーナとかいう子をつれてきたそうだが」
リリアン「‥‥‥‥」
ベムラー「な〜るほど そこにいるのがわしの子だというのか‥‥」
手を伸ばしニーナ姫に触れたとたん、突然驚いて離れるベムラー。
ベムラー「! ………………
 ほんとにこいつが わしの子なのか‥
 ぬぬ さては天狗大王のやつ はかりおったな〜」
リリアン「どうかしたんですか この子が‥‥」
ベムラー「殺せ!」
リリアン「え?」
ベムラー「そんなガキ さっさと殺してしまえ」
リリアン「なにするんですか!やめてください」
激高してさすまたを振りかざすベムラーの真ん中の目を念爆で攻撃するリリアン。
ベムラー「リリアンきさま」
リリアン「わけをいってください わけを」
ベムラー「理由はこれだ いまそいつにふれたとたん こうなった」
その手を見ると、焼けただれている。
ニーナ「‥‥‥‥‥‥‥‥」
リリアン「そんなバカな わたしはなんともないんですよ‥‥」
ベムラー「おまえにはなんともなくても わしにとっては火と水だ!
 いいか三日以内に殺さねば おまえも殺す!」
そう吐き捨て姿を消すベムラー。
リリアン「‥‥‥‥‥」
妖怪「リリアンさま おわかりにならないんですか まだ
 この子の体をおおっているものを よ〜くみてください」
リリアン「うすい光が‥」
妖怪「そう それがベムラーさまがいちばん きらっているものですよ
 善の心からふきでているオーラですよ」
オーラはニーナ姫の全身から光を放っている。困惑の表情を浮かべるリリアン。
リリアン「………………」

つぶれ荘に帰って来たテン丸。
テン丸「大首 生きてたのか」
妖子「それよりニーナちゃんは」
テン丸「とちゅうで けむにまかれてしまった…」
大首「おそらく敵の本部にいると思うんじゃが‥‥
 その本部がどこにあるのかわからん‥」
困っていた所に、チリ紙交換屋になったヘビ男がトラックで通りかかる。
ヘビ男「まおどおなじみチリ紙交換でヘビ〜」
テン丸「お〜いヘビ男〜」
ヘビ男「ゲッ テン丸
 チリ紙ほしいんなら あげますあげます
 あっしはもう なにもわるいことしてませんよ きよく正しくはたらいてます」
さっさと逃げようとするヘビ男。改心してもテン丸が苦手なもよう。
テン丸「そうじゃないって ニーナちゃんがピンチなんだ」
ヘビ男「脱走犯人なかよし同盟の本部ですか あれならこっちだヘビ〜ッ」
さすが元脱走犯。トラック走らせて案内してくれる。

リリアンはニーナを連れ洞窟内を歩く。
「ニーナ 歩けるかい」
そう言って背を向ける。ニーナはそれに甘えるようにおぶさる。
優しい表情は本物の母子そのもの。
ニーナ「‥‥‥‥‥‥ ママ‥‥」
リリアン「なんだい」
ニーナ「ベムラーってニーナの‥‥」
リリアン「ちがうさ なんであんなのがあんたの親なもんか あれはうそっぱちだよ
 あいつの正体は悪のかたまりなんだから
 善の心をもっているあんたが生まれるはずないよ」
ニーナ「……」
リリアン「あいつはあんたを おそれているんだよ
 あんたの体からふきでている善のオーラに ふれると
 あのとおり やけどしてしまうから」
ニーナ「ママはだいじょうぶなの」
リリアン「わたしは だいじょうぶみたいだよ
 まだ いくらかましな心が のこっていたみたいだからね」
道を塞ぐように妖怪達が二人の前に立ち塞がる。
妖怪「どこへいかれますリリアンさま」
リリアン「どこでもいいだろ おどき」
妖怪「ヘヘヘヘヘ」
妖怪「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」
リリアン「ニーナ わたしのそばを はなれるんじゃないよ」
鞭を取り、抗戦の構えをとるリリアン。
ベムラーの妻といえど、裏切り行為は許されない。一斉にリリアンに襲いかかる妖怪達。
リリアン「おどき!」
鞭を操り次々と雑魚妖怪を薙ぎ倒して行くリリアン。
念爆でまとめて吹き飛ばすが、逃れた妖怪にニーナが捕まってしまう。
ニーナ「きゃ〜っ」
リリアン「うっ」
気を取られたリリアンはその一瞬の隙を突かれ、槍で腹を串刺しにされてしまった…!
リリアン「‥‥」
ニーナ「ママ‥」
リリアン「‥‥‥‥」
ニーナ「ママ〜!」
息も絶え絶えになりながら、リリアンは娘・ニーナ姫に最後の言葉を紡ぐ。
リリアン「ニーナ……
 やさしいママになれなくて‥‥ ご ごめんよニーナ‥
 ニーナ‥」
ニーナ「ママ〜〜ッ!」
やっと実の母子が巡り合えたのに。二人の心が打ち解けようとしていたのに。
あまりに残酷な別れが待っていた。
ニーナ「テン丸〜!
 ママをたすけてあげて〜!テン丸〜!
妖怪「ハハハハハハ こんなところでテン丸をよんだって くるもんか」
妖怪「ヒヒヒヒ バ〜カ つぎはおまえの番だよ」
妖怪「ホレ ホレ 泣け!」
ニーナ姫の首に手の鋏を近付け、からかう妖怪。
と、その時壁にヒビが入り、もぐら型バイクに乗ったテン丸が現れた!
テン丸ウォンチット! ニーナちゃん」
ニーナ「テン丸! ママが ママが‥ わ〜〜っ」
リリアンの亡骸の側で泣きじゃくるニーナ姫。
「ママは‥ママは‥ やさしいママだったのよ〜」
しかしそれをあざ笑うかのごとき卑劣な妖怪の一言が、テン丸を怒らせた。
妖怪「ホッホッホホ ベムラーさまに さからうやつは みんなそうなるんだよ」
テン丸フン ベムラーさまだと このど悪党どもめ!」
サーベルで妖怪の群れへ斬り込むテン丸。
クロ「よ〜〜し おいらもひょうたんロボットにのって あばれてやるでガス!」
カンフーのような動きで妖怪どもを倒していく!かっこいいぞクロ!
突然、ニーナ姫の足下にさすまたが刺さる。ついに姿を現したベムラー。
クロ「親分!あれ!」
テン丸「な なんだ!」


◆べ、ベムラーだ! 5月号につづく

第13話 ニーナの秘密!?の巻 その2/完

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