ニーナちゃんとリリアンに せまる危機! テン丸の 怒りが爆発!
ママ〜
ボンボンKC「ベムベムハンターこてんぐテン丸 一〜三巻発売中! そろえようね!
(コミックボンボン1983(昭和59)年3月15日発行 4月号掲載時の扉文句より)
◆ニーナちゃんが、テン丸に切られちゃった! だいじょうぶかな?(柱コメント)
本編
リリアンを庇うように飛び出し、テン丸のサーベルで深手を負ったニーナ姫。
テン丸 | 「ニーナちゃん なんでとびだすんだよ」 |
ニーナ | 「ママを ママをゆるして‥」 |
リリアン | 「ニーナ!」 |
リリアンはニーナ姫を抱きかかえ走り出す。
飛んで行くリリアンの後をバイクで追うテン丸。
クロ「親分〜」
クロは崩れた城でテン丸を捜していた。すると地面が盛り上がり、何かが突き上がる。
クロ「わ」
つぶれ荘。
妖子「テン丸くんたち まだ帰ってこないの〜」
入間「まさか あんなもんおいて 国へ帰ったんじゃないだろうな」
妖子「そんなことするわけないでしょう」
ニーナ姫のペット竜のルーズが池の中から不安げに空に目を向けている。
妖子「ルーズ 心配ないわよ ニーナちゃん 帰ってくるわよ」
瓦礫の餌を持って励ます優しい妖子ちゃん。
クロ「ただいまでガス」
妖子「ほら 帰ってきたわ きゃっ」
飛行カーには頭が粉々に割れた大首が。
妖子ちゃんの手当で包帯を巻かれ布団に横たわる大首。
妖子「いったいどうしたの」
クロ「リリアンの念爆にやられたんでガスよ〜」
河口「ニーナちゃんは?」
ルーズが窓から顔を覗かせる。
クロ | 「親分がまちがってけがさせて リリアンがどっかにつれてったでガス」 |
大首 | 「おそらくやつらの本部じゃろう やつらの本部にいきゃあ あんなけが なおさるやつがいるだろ〜」 |
脱走犯人なかよし同盟の本部は、鍵がかかった古びた祠の奥だ。
蒸気を発する液体が入った穴に、ニーナ姫が浮かべられている。
側に立つリリアンはニーナ姫の言葉を思い出しながら涙を流す。
リリアン | 「‥‥‥‥‥‥」 |
ニーナ | 『ニーナのほんとのママなら やさしいママになって』 |
リリアン | 「…………」 |
ニーナ姫の治療が済み、大ボス・ベムラーの前に引き出される。
ベムラー「リリアン おまえニーナとかいう子をつれてきたそうだが」
リリアン「‥‥‥‥」
ベムラー「な〜るほど そこにいるのがわしの子だというのか‥‥」
手を伸ばしニーナ姫に触れたとたん、突然驚いて離れるベムラー。
ベムラー | 「! ……………… ほんとにこいつが わしの子なのか‥ ぬぬ さては天狗大王のやつ はかりおったな〜」 |
リリアン | 「どうかしたんですか この子が‥‥」 |
ベムラー | 「殺せ!」 |
リリアン | 「え?」 |
ベムラー | 「そんなガキ さっさと殺してしまえ」 |
リリアン | 「なにするんですか!やめてください」 |
激高してさすまたを振りかざすベムラーの真ん中の目を念爆で攻撃するリリアン。
ベムラー「リリアンきさま」
リリアン「わけをいってください わけを」
ベムラー「理由はこれだ いまそいつにふれたとたん こうなった」
その手を見ると、焼けただれている。
ニーナ | 「‥‥‥‥‥‥‥‥」 |
リリアン | 「そんなバカな わたしはなんともないんですよ‥‥」 |
ベムラー | 「おまえにはなんともなくても わしにとっては火と水だ! いいか三日以内に殺さねば おまえも殺す!」 |
そう吐き捨て姿を消すベムラー。
リリアン | 「‥‥‥‥‥」 |
妖怪 | 「リリアンさま おわかりにならないんですか まだ この子の体をおおっているものを よ〜くみてください」 |
リリアン | 「うすい光が‥」 |
妖怪 | 「そう それがベムラーさまがいちばん きらっているものですよ 善の心からふきでているオーラですよ」 |
オーラはニーナ姫の全身から光を放っている。困惑の表情を浮かべるリリアン。
リリアン「………………」
つぶれ荘に帰って来たテン丸。
テン丸 | 「大首 生きてたのか」 |
妖子 | 「それよりニーナちゃんは」 |
テン丸 | 「とちゅうで けむにまかれてしまった…」 |
大首 | 「おそらく敵の本部にいると思うんじゃが‥‥ その本部がどこにあるのかわからん‥」 |
困っていた所に、チリ紙交換屋になったヘビ男がトラックで通りかかる。
ヘビ男 | 「まおどおなじみチリ紙交換でヘビ〜」 |
テン丸 | 「お〜いヘビ男〜」 |
ヘビ男 | 「ゲッ テン丸 チリ紙ほしいんなら あげますあげます あっしはもう なにもわるいことしてませんよ きよく正しくはたらいてます」 |
さっさと逃げようとするヘビ男。改心してもテン丸が苦手なもよう。
テン丸「そうじゃないって ニーナちゃんがピンチなんだ」
ヘビ男「脱走犯人なかよし同盟の本部ですか あれならこっちだヘビ〜ッ」
さすが元脱走犯。トラック走らせて案内してくれる。
リリアンはニーナを連れ洞窟内を歩く。
「ニーナ 歩けるかい」
そう言って背を向ける。ニーナはそれに甘えるようにおぶさる。
優しい表情は本物の母子そのもの。
ニーナ | 「‥‥‥‥‥‥ ママ‥‥」 |
リリアン | 「なんだい」 |
ニーナ | 「ベムラーってニーナの‥‥」 |
リリアン | 「ちがうさ なんであんなのがあんたの親なもんか あれはうそっぱちだよ あいつの正体は悪のかたまりなんだから 善の心をもっているあんたが生まれるはずないよ」 |
ニーナ | 「……」 |
リリアン | 「あいつはあんたを おそれているんだよ あんたの体からふきでている善のオーラに ふれると あのとおり やけどしてしまうから」 |
ニーナ | 「ママはだいじょうぶなの」 |
リリアン | 「わたしは だいじょうぶみたいだよ まだ いくらかましな心が のこっていたみたいだからね」 |
道を塞ぐように妖怪達が二人の前に立ち塞がる。
妖怪 | 「どこへいかれますリリアンさま」 |
リリアン | 「どこでもいいだろ おどき」 |
妖怪 | 「ヘヘヘヘヘ」 |
妖怪 | 「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」 |
リリアン | 「ニーナ わたしのそばを はなれるんじゃないよ」 |
鞭を取り、抗戦の構えをとるリリアン。
ベムラーの妻といえど、裏切り行為は許されない。一斉にリリアンに襲いかかる妖怪達。
リリアン「おどき!」
鞭を操り次々と雑魚妖怪を薙ぎ倒して行くリリアン。
念爆でまとめて吹き飛ばすが、逃れた妖怪にニーナが捕まってしまう。
気を取られたリリアンはその一瞬の隙を突かれ、槍で腹を串刺しにされてしまった…!
リリアン | 「‥‥」 |
ニーナ | 「ママ‥」 |
リリアン | 「‥‥‥‥」 |
ニーナ | 「ママ〜!」 |
息も絶え絶えになりながら、リリアンは娘・ニーナ姫に最後の言葉を紡ぐ。
リリアン | 「ニーナ…… やさしいママになれなくて‥‥ ご ごめんよニーナ‥ ニーナ‥」 |
ニーナ | 「ママ〜〜ッ!」 |
やっと実の母子が巡り合えたのに。二人の心が打ち解けようとしていたのに。
あまりに残酷な別れが待っていた。
ニーナ | 「テン丸〜! ママをたすけてあげて〜!テン丸〜!」 |
妖怪 | 「ハハハハハハ こんなところでテン丸をよんだって くるもんか」 |
妖怪 | 「ヒヒヒヒ バ〜カ つぎはおまえの番だよ」 |
妖怪 | 「ホレ ホレ 泣け!」 |
ニーナ姫の首に手の鋏を近付け、からかう妖怪。
と、その時壁にヒビが入り、もぐら型バイクに乗ったテン丸が現れた!
テン丸 | 「ウォンチット! ニーナちゃん」 |
ニーナ | 「テン丸! ママが ママが‥ わ〜〜っ」 |
リリアンの亡骸の側で泣きじゃくるニーナ姫。
「ママは‥ママは‥ やさしいママだったのよ〜」
しかしそれをあざ笑うかのごとき卑劣な妖怪の一言が、テン丸を怒らせた。
妖怪 | 「ホッホッホホ ベムラーさまに さからうやつは みんなそうなるんだよ」 |
テン丸 | 「!フン ベムラーさまだと このど悪党どもめ!」 |
サーベルで妖怪の群れへ斬り込むテン丸。
クロ「よ〜〜し おいらもひょうたんロボットにのって あばれてやるでガス!」
カンフーのような動きで妖怪どもを倒していく!かっこいいぞクロ!
突然、ニーナ姫の足下にさすまたが刺さる。ついに姿を現したベムラー。
◆べ、ベムラーだ! 5月号につづく
第13話 ニーナの秘密!?の巻 その2/完
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