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ベムベムハンターこてんぐテン丸 作品解説

『ベムベムハンターこてんぐテン丸』は天狗大王の息子「テン坊」が、相棒のカラス天狗「クロ」と一緒に、人間世界に逃げた(正確にはテン坊が逃がしてしまった)凶悪妖怪を退治していく”SF怪奇コメディー”として始まる。
コミックボンボンと言う低年齢層向けの雑誌に連載されていた事もあってか、基本的にギャグコメディ。
連載当初は『ベムベムハンター』と言うタイトルであり、『こてんぐテン丸』の部分は後に改題され加えられたものだ。これは連載途中で主人公の名前が「テン坊」から「テン丸」に変わった為と、丁度その頃にTVアニメ化が決まった事もあると思われる。アニメ化が決まったから名前を変えたのか、最初からの予定でたまたまその頃アニメ化が決まったのかは不明だが、連載時の本編による所では、天狗族は一生に三回名前が変わり、「テン坊」は生まれた時の名前、後に「坊」から「丸」の位へ昇格という運びになっている。
尚、連載前の予告ではタイトルが『ベムベムジー』だった事が新たに判明した。

タイトルの『ベムベム』とは一体何の事だろう。敵の大ボスに「ベムラー」という名前の妖怪がいるが、あまり関係なさそうに思える。と長年疑問を抱いていた所、リンク先の『不思議な旅』コンテンツ内「AKIベエのアニメ原作コミックの部屋」ベムベムハンターこてんぐテン丸の解説で、「ベム(BEM)とはBUG-EYED MONSTERSの頭文字をとったもので、元々はエイリアンの別称」との事である。もっと詳細な解説ページはこちら

テン丸に登場する妖怪は完全な創作妖怪。一応、天狗や竜といった既存の妖怪も登場するが、その数は僅かでほとんどは原作者の創作。そしてテン丸が退治せねばならない妖怪の数は厳密に「108匹」と決まっていた。何故なら、逃がした数が108匹だったから。全て退治して初めて堂々と妖怪の国に帰る事ができる。更には、罰として折られた天狗の象徴たる「高鼻」も、めでたく戻されるのだ。天狗のくせに鼻ペチャなのは、そう言う事情が絡んでいる為である。
でも鼻高のテン丸より、鼻ペチャの方がいいよねえ。尤もそれは「人間から見て」の話で、テン丸自身は天狗一族でも鼻が低い自分のママ(美人!)の事を「鼻ペチャのブス」と言うくらいだから、気に入らないんだろうね。

人間世界で世話になるのは居候先のアパートで大家のおばあちゃんと小学生の孫娘の妖子ちゃんの他、アパートに住む妖子のクラスメイトの男子三人組で入間、油井、河口。どいつもこいつも妖怪似の顔立ちで、最初はテン坊に妖怪と間違えられた程。このメンバーとテンクロコンビが原作第一期のレギュラー。
第二期になると、竜神一族のニーナ姫とそのペット竜のルーズが加わり、最終的にニーナ姫お付きのじいやの大首も来て、合計10人がレギュラー化すると言う大所帯になった。

原作は基本的にギャグコメディ色が強いが、第3巻辺りから徐々にシリアスムードに変化する。
クライマックスに近付くに連れ内容はハードになり、テン丸自身も流血する程の凄惨な戦いになっていく。最後の戦いはテン丸だけでなく、ニーナ姫をも巻き込む壮大なドラマだ。彼女の出生の秘密が、終盤になって明かされる事になるのだが……。残念な事に、最大の盛り上がりである最終4話分はコミックス未発刊なのである。これを読めば、今までのテン丸のイメージが180度変わるだろう。管理人は原作の未収録話を含めた完全復刻版の発刊を求め、復刊投票を行っている。「復刊ドットコム」で、是非復刊に1票入れて頂きたい!

アニメは毎回駄洒落が入り、原作よりギャグを際立たせた娯楽的な内容になっている。
登場妖怪もアニメオリジナルが多く、必然的にストーリーも原作にないオリジナルがほとんどだ。アニメならではのテンポの良さと、軽快なノリがこの作品によく合っていた。
オープニングとエンディングを歌うのはテン丸役の藤田淑子さんとクロ役の松島みのりさんで、テン丸とクロそのものをよくイメージしている名曲(迷曲?)だ。特にEDは、子分のクロに散々けなされまくるけれども、クロはやっぱりテン丸が一番、という二人の絆を歌っていて気持ち良い。

レギュラーキャラは原作と同じだが、強いて違う所と言えば名前か。テン丸はアニメでは最初から「テン丸」で、原作になかったニックネームが「テンテン」。この呼び方は両親しかしない。
妖子ちゃん達は苗字/名前がついた。詳しくはキャラクター大辞典参照のこと。
そして原作ではもう一人のヒロインと言って良い竜神一族のニーナ姫は、全19話中16話からの登場と遅く、アニメしか知らない人にとっては年月と共に印象の薄れる存在になってしまった。
大首の登場もなく、ニーナ姫出生の秘密が明かされる事なく、敵ボス・ベムラーとの最終決戦もなく、半端に終了したのが非常に残念だ。

全19話と短い期間ではあったが、アニメに登場予定の108匹の妖怪のデザインはされていた。玩具の『マジックサーベル』、これはテン丸の武器の杖だが、この杖と一緒に108匹の妖怪ゴム人形が付いている。
アニメに登場することなく消えて行った名も知らない妖怪達を、大辞典でお披露目しているので是非ご覧いただきたい。

本作はマイナーアニメにすら滅多に名前が上がらない。原作を知らない方も多く、更にアニメは19話で終了とあっては印象が薄いのは仕方がないが、実はアニメテン丸は「打ち切り」という憂き目にあった不遇な作品なのである。今の所天下の東映全作品の中で最も短命らしい。
単行本も4巻が出てないしな…未収録4話分では本にできなかったのだろうが実に勿体ない。
そんな不名誉な記録保持者のテン丸。しかし探せばファンはまだまだいるらしく、嬉しい限り。私も、今までもこれからもずうっと愛してるよ!

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