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第12話 さらわれたニーナちゃんの巻 その2


◆ニーナちゃんが、さらわれた! リリアンは、なにをたくらむのか?
(コミックボンボン1984(昭和59)年 2月号掲載時の柱コメントより)

本編

ニーナ姫がさらわれた事を大首に報告するテンクロ。
大首「なに〜〜 姫が〜〜」
テン丸「ごめん」
クロ「おいらたちがニーナちゃんを おつかいにいかせたばっかりに」
大首「で 姫をつれてったのは どんなやつでござった」
クロ「こいつでガス」
大首は、クロに見せられた指名手配リストでその妖怪を見て飛び上がって驚く。
「ゲゲッ こ これは!」
そのページには冠とドレス姿の美しい女性の姿が載っている。
魔女リリアン。見掛けは美しいが、興奮すると恐ろしい姿に変わる。
念爆能力を持ち、七人の手下を従えて世界中の子供をさらう。大妖怪ベムラーの妻。
クロ「じいさん この女 しってるでガスか?」
大首「えっ いやしらないしらない あんまり美人なのでおどろいたまでじゃ
 とにかく姫のいどころをつきとめなくては」
大首は「ニュータッチ探知機」と書かれたカップを出し、お湯を注ぐ。
不明「なにそれ」
大首「姫のボンブクラウン探知機でござる」


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またまたすごい妖怪が
わんさかでてくるよ!
テン丸ちゃん
   がんばって!

ホイホイ

ボンボンKC「ベムベムハンターこてんぐテン丸」
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(同・見開き扉文より)



リリアン「気がついた?」
ニーナ姫が意識を取り戻すと、そこはリリアンの個室。部屋の奥に子供達が固まっている。
ニーナ「…‥…‥」
蛙のような小さな妖怪がケーキと飲み物を運んで来ると、リリアンはニーナ姫をテーブルに座るよう呼び寄せる。
リリアン「こちらにおすわり
 べつに とって食べやしないから安心しなさい わたしは子どもが大好きなのよ」
ニーナ「これなんだプリン」
鳥かごのような物に入った沢山の小さな生き物がいる。
リリアン「それ?ふつうの人間よ 薬で小さくしたのよ」
ニーナ「な なんでプリン」
リリアン「ホホホホ
 このほうが たくさん飼うのに便利じゃない
 食料はすくなくてもすむし かわいいし
 ペットとして最高じゃない ホホホホホ」
ニーナ「!」
リリアン「あなたにはこんなことしないわよ わたしの味方になってもらう予定だからね」
ニーナ「味方になる」
リリアン「そうよ」
ニーナ姫の背後に5名の妖怪が現れる。ヤギの頭を持った者、熊のような姿、悪魔姿のビビルス、骸骨の骨八、下半身が馬の者。リリアンの直属の部下のようだ。
ニーナ「!」
リリアン「さあおとなしく洗脳手術をうけるのよ」
ニーナ姫はボムを使って逃げようとするが、リリアンには全く歯がたたない。
リリアン「おっと あたしにはそんなもの きかないといったでしょう」
ニーナ「くそ」
リリアン「ききわけのない子ね」
リリアンは鞭を出し、ニーナ姫を打ちのめす。
「わたしは ひねくれてる子は 大きらいよ!
 おとなしく手術を
 うけなさい!
 ホホホホホホホ

笑いながら鞭を振るうリリアンの顔が恐ろしげに変わる。
ビビルス「リリアンさま! 美しいお顔が‥」
リリアン「おっと いけないいけない 興奮してしまった」
ニーナ姫は、散々鞭打たれ傷だらけになりながらも屈しない。
ニーナ「い いやプリン」
リリアン「強情な子ね あなたがいやなら 薬でねむらせてやるまでよ
 あのペットたちとおなじようにしてあげるわ
 骨八!さっさとこの子の頭を洗脳しちゃいなさい」
骨八「はっ」
骨八に引きずられ別室へ連れて行かれそうになるニーナ姫。
ニーナ「いやん いやよ たすけてプリン!」
リリアン「フン」
ふと、床に落ちたニーナ姫の血の色に気付くリリアン。
リリアン「ん ちょっとおまち!」
骨八「え」
ニーナの腕の傷から流れる血を見て、何故か動揺するリリアン。
リリアン「こ これは き 金色の血液‥」
ニーナ「?」
リリアン「この子 ほんとに竜神族の子どもか?」
ビビルス「は はい それがどうか」
リリアン「バカ おまえの血の色型はなんだよ」
ビビルス「わしなら黄色型ですが」
リリアン「そうだろ 人間に血液型があるように
 妖怪にも種族によって 血液の色がきまっているのは しっているだろ」
ビビルス「あっ そういや竜神族は白型だ!」
リリアン「そうさ 白型だよ」
ニーナ姫自身知らなかったのか、驚愕の表情。
リリアン「姿かっこうはにてても 体の中を流れる血は 親の血をそのままうけつぐものよ
 白型は白 まちがっても金色なんかにならないわ
 この子 竜神族でないとすると いったい‥‥
 おまち こうなったら てってい的にあんたの体を調べさせてもらうわ!
 骨八!レントゲンを用意して!
 もし この子のがほんものの竜神族なら 心臓が竜神石になってるはずよ」
骨八「は はい」
リリアンは血相を変え、ただならぬ緊迫感に包まれる。
その時、鷹のような姿の妖怪が慌てて報告に飛び込んで来た。
鷹男「た たいへんですリリアンさま」
リリアン「なに!テン丸たちが こっちへくるって
 くそ! このだいじなときに ここが どうやってわかったんだ」
部屋のモニターに、ひょうたんバイクで向かって来るテン丸が映る。
リリアン「ビビルス テン丸をおいかえしてこい!」
ビビルス「はっ」

活火山が黒煙を噴いている上空を、ひょうたんバイクに乗ったテン丸と、スポーツカータイプの飛行物体に乗った大首が飛んでいる。
大首「この近くですぞ ボンブクラウン探知機がしめした場所は」
テン丸「この近くにリリアンのすみかがあるんだな」
クロ「あれ けむりが‥」
目の前に黒い煙が見えたと思うと、背中に蝙蝠の翼、頭に二本角、尻尾を生やし、全身黒の太めの悪魔のような姿で大きな三つ又の槍を構えている妖怪ビビルスが現れた。
テン丸「な‥ なんだおまえは!」」
ビビルス「リリアンさまの二番めの手下 ビビルスさまだ
 ここから先へ いきたけりゃ おれと勝負しろ」
テン丸「リリアンの手下だと〜
 やいやい ニーナちゃんは関係ないんだぞ
 おまえらの相手は このおれたちだぞ まちがうな!」
ビビルス「ハハハハ 関係あろうがなかろうが
 リリアンさまの気にいったものは すべていただくことに なってるのだ」
テン丸「なんだと!」
ビビルス「かえしてほしけりゃ おれをたおして先へいきな それっ」
野球のスイングのように打ち飛ばされるテン丸。
テン丸「わ〜〜〜〜〜っ
 よくもやりやがったな〜〜 ビ‥なんとかめ!」
ビビルス「ビビルスさまだ!」
テン丸「ビールスか!」
ビビルス「ちゃう!ビビルス!」
テン丸「へん」
ビビルス「死ね!」
テン丸「おっと
 いなずまおとし〜
攻防の隙をついて見事命中し、ビビルスは粉々に。
クロ「やったでガス おみごと親分」
テン丸「ざまあみろ 口ほどにもないやつめ!」
ところがビビルスは粉々になっても蚊のように小さく分裂しテン丸に迫る。
テン丸「ああっ
 ゲゲッ な なんだこりゃ〜」
ビビルス「ハッハハハハ わがはいは何千何万と分身できるのだ
 くだらぬ武器で わがはいにショックをあたえたのが運のつきよ
 それっ テン丸を穴だらけにしてやれ!」
テン丸「いて! ちっくしょう!」
クロ「親分 うちわでふきとばすでガス〜〜」
テン丸「くらえ風速四十メートル!」
ビビルス「ハハハハ そんなものでふきとばしたところで おなじだ
 それっ」
大群が固まり一気にテン丸に向かう。
ビビルス「やつの弱点は目だ!目をつぶしてしまえ〜」
テン丸「わっ じょうだんじゃねえぞ クロ〜 やつの弱点調べてくれ〜〜」
クロ「ガスでガス!」
テン丸「ガスでガス? ?なんだそりゃ」
クロ「毒ガスのガスでガス」
テン丸「毒ガス〜
 そんなもんあるか!」
大首「いや ないけどあるぞ
 これじゃ」
大首が懐から出してテン丸の口に投げた物は薩摩芋。結果は見えたな(笑)
テン丸「大首!なんだこりゃイモじゃねえか」
大首「それは わしの発明した人工ガス製造機じゃ〜 はやくくってくてだれ」
ビビルス「イモなんかくっても おなじことだ ハハハハ 体じゅう穴だらけにしてやるぞ」
クロ「親分」
ザクザク刺されるテン丸。人工ガス製造機……さあ、先の展開見えたね!(笑)
テン丸「くらえ妖怪」
お尻を出して思いっきり放屁。
ビビルス「な なんだこのすごい毒ガスは‥
 へだ こいつ へをこきやがったんだ
 ぐ ぐるじい」
ばたばたと落ちて行くビビルス。おならに倒されるとは哀れな…(-人-;)
大首「ハハハハ おちる!おちる!
 どうじゃ わしのつくった妖怪毒ガスは」
ビビルス「お おのれ わがはいともあろうものが
 こんなものに ひっかかかってしまうとは
 不覚‥」
妖怪に効くならテン丸達にも有害なんじゃ…言うのは野暮かな。

ビビルスがテン丸を牽制している間に、ニーナ姫の体の調査が進められていた。
骨八「やっぱり どこにも竜神石なんかありませんよ ほら
 この子の心臓にあるのは 金色の血液だけです
 しかし わしも実在するとはきいていたが まさかほんとうにあるとはな‥
 この血は 妖怪国でも数人しかいないといわれている 貴重な型だからな」
リリアン「まちがいない‥」
骨八「えっ なにが‥」
引きつったような笑みを浮かべ、ニーナ姫を見つめるリリアン。
リリアン「あんたは‥」
ニーナ「よるな!」
裸のまま、起き上がってボムで手術台を破壊するニーナ姫。
ニーナ「ニーナは死んでもテン丸をうらぎらないプリン!」
リリアン「テン丸なんか もうどうでもいいのよ ホホホ」
そう言うと、手袋を脱ぎナイフを取り出した。
骨八「リリアンさま なにされるんですか?」
リリアン「あんた よくみておくのよ ごまかそうとしても ごまかせない真実を‥‥」
ナイフで自分の小指を少し切る。キラキラと光る血が流れ出た。
ニーナ ああっ そ その血の色は!」


◆リリアンの指から流れる血の色は‥‥、ごまかせない真実とは‥‥? 3月号につづく

第12話 さらわれたニーナちゃんの巻 その2/完

13話前編→

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